毎年、Jクラブの下部組織が行う小学校6年生を対象に実施するセレクションの競争倍率は、首都圏と関西圏で300倍以上になることもあると言う。さらに、受験生にとって辛いのは、年によっては合格者ゼロもあると言うことだ。
Jの各クラブとも1学年の定員は20人弱。ジュニアカテゴリーを持つ場合は、一定数を内部昇格させ、そのほかをスカウトで集めている。J1・J2の主要クラブは小中学生をチェックする専属スカウトを日本全国に配置し、公式戦だけではなく、練習試合まで視察に行くほどである。
通年J下部に進む6年生の進路は遅くても6月から7月までには決まり、この時点でクラブの定員数はほぼ埋まる。一般セレクションは、スカウト網に漏れた掘り出し物を探す意味合いが強いが、受験する側は親を含めて本気そのもの。学校を休んでコンディション調整することもあり、試験会場は子どもを熱心にサポートする親であふれ返っている。
ジュニアユース加入が内定すれば、いまや越境は当たり前で北陸地方から大阪や東京へ、中国地方から関西を通り越して神奈川へ。一昔前は中学校卒業した後だったものの、いまは小学校を卒業し、家族ごと引っ越してくるケースも珍しくなく無いそうだ。
U-15年代から関東・関西クラブの下部組織に所属していても、実は地方出身者というケースが増えているのだ。
時代を追うごとにJクラブの下部組織は洗練されたエリート集団になっているが、小学校6年生で網から漏れた選手たちが大きな成功をつかんできたのも事実。日本代表の主力選手になりつつある海外組の伊東純也、遠藤航が横浜FMのセレクションに落ちているのは知られた話だ。
話は変わるが、J1選手の平均年俸は2019年度で3,600万円と言われている、しかしこの平均年俸には1人だけで何十億円も稼ぐ高年俸の外国人選手が含まれる。日本人選手だけの平均年俸は恐らく2,000万円代と考えられる。スペインの10分の1以下である。Jリーガーの平均引退年齢は26歳。他のプロスポーツ選手と比べても圧倒的に低い。
加熱するサッカー受験。お子様のJリーグクラブ入りを引っ越ししてまで家族ぐるみで応援するには、Jリーガーはあまりに低年俸、短命であるのではないだろうか? さらに日本代表の殆どが海外リーグでプレーする選手である事も皮肉である。
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